意図していなかったことと、英訳へのヒント


英訳講座を担当するようになって足掛け9年になります。


最初は自分ひとりでやるつもりが、ネイティブチェックをお願いしますというご挨拶のつもりで、翻訳のお仕事で長年お世話になっていた翻訳会社さんに英訳講座のお話をしたら、「一緒にやりましょう」と言われ、ものすごい勢いで「こと」が進んでいきました(私がやってもいいのだという自信につながったのはありがたかったです)。


その当時から、私自身は意図していなかったのですが、受講生にはすでに翻訳のお仕事(主に和訳)をされている方が結構多く、お仕事の幅を広げたいという期待の表れなのだと感じておりました。


ただ、私自身、在宅翻訳者として5年ほど和訳の仕事をしてから、その蓄積で英訳のお仕事もはじめ(というか、それまで英訳のトライアルは受けなかっただけですが)、それからは和訳より英訳の方が多いくらいの状態が続き、その蓄積を還元したいと思い、講座をはじめました。


ですので、すでに特定の分野の和訳のお仕事をされていて、その分野で英訳もと考えているのにトライアルに合格しないような場合には、絶対量が少ない可能性もありますが、今以上に和訳で「ひたすら自然な日本語を意識する」ことを試されてみてはいかがでしょうか(その際に注意しなければならないことはこちら←10年前の記事ですが…)。


英訳の話なのになぜ自然な日本語なのかと思われるかもしれませんが、外国語で書かれた「現実」を忠実に再現しなければ、正確な和訳はできませんから、当然ながら外国語も細かいところまで意識して見なければならないことになります。この作業を通じて日本語と外国語の本質的な違いをもっと意識できるようになったり、外国語の発想とか感覚とかがじわじわと身についたりしていくと思います。自分の脳を鍛えないといけない作業ですので、ツールに頼っていてはむずかしいかもしれません。



実務翻訳職業コンサルタント 岡松みずほ's Office

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