名前に込めた意味

英訳講座の会「トランスレーション-crafts」。

「翻訳は手仕事、職人仕事だー」と主張したくて付けた名前です。

実際、特に外国のジャーナルに投稿する論文などの英訳は、本当に職人の仕事だと思っています。翻訳支援ソフトが入り込む余地なんてありません。著者が使ったことば(文字)から、真の意味(情報)を丁寧に読み取り(そこには辞書が介在する余地すらないことも)、その大きさや形を変えずに「科学英語」を使って表さないといけないのです。

講座でお渡ししている「訳例」は、常に2名体制で対応されている英文校閲の会社、しかも常に同じeditorさんを指名して仕上げています。このeditorさん、投稿論文ではないと知っているはずなのに、直しもコメントも常に「本気モード」な方で、毎回、校閲済み原稿が返ってくるのが怖いくらい。返却メールが届くとファイルを開くまでドキドキ、開いてからもコメント(もちろん全部英語)の多さと内容の細かさに心臓が痛くなるほど。

訳例の作成も職人仕事です。

ここまで英文が投稿論文レベルなのに、授業は日本語で進めていきます。

英文ライティングのセミナーとかだと、日本語ができなかったり覚束なかったりする英語ネイティブの方が講師だったり、全部英語のほうが勉強になるからとかいった理由で説明も英語だったりということもありますが、日本語が母語の方を対象に日本を英語にする方法を身につけてもらうのですから、日本語で説明しないと意味がないと思っています。雰囲気とか気分だけの勉強では意味がありませんから。

すごくニッチな講座ではありますが、こだわりをもってやっているのを理解してくださってか、受講生の幅は広く、英訳自体がはじめてという方から、社内で翻訳の仕事「も」されている方とか、違う分野がご専門の翻訳者の方や、本業は通訳だという方まで、さまざまです。

英訳をきちんと学べば、英語を細かく(冠詞の有無、単複、語順、ことばの使い分け等々)見るようになるので、和訳の質も自ずと上がります。実際に和訳と英訳を両方されている方が、実際にそれを体感されています。

パターンで置き換えがきかないところほど、翻訳者の力が顕著に表れます。そういうところで差がつく翻訳者になっていただけたらと思って講座をしています。


実務翻訳職業コンサルタント 岡松みずほ's Office

翻訳を仕事にしたい方、翻訳者としてのキャリアアップを希望される方に、翻訳者として、講師としての豊富な経験と実績を活かし、ご相談者さまのご事情や状況に合った的確、具体的かつ実行可能なご提案をしていきます。秘密厳守。